13世紀、毒殺による暗殺を恐れた神聖ローマ帝国のフリードリッヒ2世は、主治医に自身の薬の調合をさせませんでした。そして、別の者に薬のチェックをさせたことを起源とする薬剤師という職業及び医薬分業の誕生からおよそ800年が経ちました。
日本における薬剤師の誕生は、明治政府が医療制度改革の際、西欧の医薬分業制を導入したことに遡ります。それまで日本では、医師が薬の調合も行う医薬兼業が一般的でした。我が国における薬剤師は現在、どのような活躍を見せているのでしょうか。
受験資格を得るためには、大学の薬学部に6年間通うか、薬科大学で薬学の単位を取得する必要があり、その後に国家試験を受験することとなります。合格者数は、過去20年間において、平成21年と平成22年に大幅に減少した点を除くと、毎年おおよそ8000人ほどです。
また、合格率は過去20年間において約6割から8割の間を前後しています。合格すると病院や薬局といった医療機関だけでなく、製薬会社や化粧品会社の開発部門に就職するなど、その活躍の場は多種多様です。また、結婚や出産後も資格の強みを生かして職場復帰も比較的容易なため、女性の人気が高まっていると言えます。
医薬品は、種類も数も膨大であり、中には使用法を誤ると人命にも関わる危険なものも多々存在するため、細心の注意が必要です。ですから、注意力の他にも、責任感や誠実さが求められる職業であるといえるでしょう。